こんにちは。 @jedipunkz です。
今日は Kubernetes を使って Serverless を実現するソフトウェア Fission を紹介します。
AWS の Lambda とよく似た動きをします。Lambda も内部では各言語に特化したコンテナが起動してユーザが開発した Lambda Function を実行してくれるのですが、Fission も各言語がインストールされた Docker コンテナを起動しユーザが開発したコードを実行し応答を返してくれます。
それでは早速なのですが、Fission を動かしてみましょう。
動作させるための環境
macOS か Linux を前提として下記の環境を用意する必要があります。また Kubernetes 環境は minikube が手っ取り早いので用いますが、もちろん minikube 以外の kubernetes 環境でも動作します。
- macOS or Linux
- minikube or kubernetes
- kubectl
- fission
ソフトウェアのインストール方法
簡単にですが、ソフトウェアのインストール方法を書きます。
OS
私は Linux で動作させましたが筆者の方は macOS を使っている方が多数だと思いますので、この手順では macOS を使った利用方法を書いていきます。
minikube
ここでは簡単な手順で kubernetes 環境を構築できる minikube をインストールします。
curl -Lo minikube https://storage.googleapis.com/minikube/releases/v0.16.0/minikube-darwin-amd64 && chmod +x minikube && sudo mv minikube /usr/local/bin/fission
kubectl
直接必要ではありませんが、kubectl があると minikube で構築した kubernetes 環境を操作できますのでインストールしておきます。
curl -Lo kubectl https://storage.googleapis.com/kubernetes-release/release/v1.5.2/bin/linux/amd64/kubectl && chmod +x kubectl && sudo mv kubectl /usr/local/bin/
Fission
Fission のインストールです。
curl http://fission.io/linux/fission > fission && chmod +x fission && sudo mv fission /usr/local/bin/fission
kubernetes の起動
ソフトウェアのインストールが完了したら minikube を使って kubernetes を起動します。
$ minikube start
$ minikube status
minikubeVM: Running
localkube: Running
$ kubectl get nodes
NAME STATUS AGE
minikube Ready 1h
Fission の起動と環境変数の設定
Fission を起動します。
$ kubectl create -f http://fission.io/fission.yaml
$ kubectl create -f http://fission.io/fission-nodeport.yaml
次に環境変数を設定します。
$ export FISSION_URL=http://$(minikube ip):31313
$ export FISSION_ROUTER=$(minikube ip):31314
Fission を使って Python のコードを実行する
例として Python の Hello World を用意します。hello.py として保存します。
def main():
return "Hello, world!\n"
ではいよいよ、kubernetes と Fission を使って上記の Hello World を実行させます。
まず Fission が用意してくれている Docker コンテナを扱うように ’env’ を作ります。
$ fission env create --name python-env --image fission/python-env
次に Fission で Function を作ります。その際に上記の env と python コードを指定します。つまり、hello.py を fission/python-env という Docker コンテナで稼働する、という意味です。
$ fission function create --name python-hello -env python-env --code ./hello.py
次に Router を作ります。クエリの Path に対して Fuction を関連付けることができます。
$ fission route add --function python-hello --url /python-hello
Function を実行する環境ができました。実際に curl を使ってアクセスしてみましょう。
$ curl http://$FISSION_ROUTER/python-hello
Hello, world!
hello.py の実行結果が得られました。
まとめと考察
結果から Fission は “各言語の実行環境として Docker コンテナを用いていて、ユーザが開発したコードをそのコンテナ上で起動し実行結果を得られる。また各コード毎に URL パスが指定することができ、それをルータとして関係性を持たせられる” ということが分かりました。AWS の Lambda とほぼ同じことが実現出来ていることが分かると思います。
AWS には Lambda の実行結果を応答するための API Gateway があり、このマネージド HTTP サーバと併用することで API 環境を用意出来るのですが Fission の場合には HTTP サーバも込みで提供されていることも分かります。
あとは、この Fission を提供している元が “Platform9” という企業なのですが、この企業は OpenStack や kubernetes を使ったホスティングサービスを提供しているようです。開発元が一企業ということと、完全な OSS 開発体制になっていない可能性があって、万が一この企業に何かあった場合にこの Fission を使い続けられるのか問題がしばらくはありそうです。Fission 同等のソフトウェアを kubernetes が取り込むという話題は…あるのかなぁ?
kubernetes の Job Scheduler が同等の機能を提供してくれるかもしれませんが、まだ Job Scheduler は利用するには枯れていない印象があります。Fission と Job Scheduler 、どちらがいち早く完成度を上げられるのでしょうか。